マイクロニクス

簡易測定器の上手な使い方

1.はじめに

電子機器から放出される放射性妨害ノイズや伝導性妨害ノイズが、定められた規格値を超えていないかを評価するEMI試験においては、一般的には認証サイト(電波暗室)を使用して正式試験を実施することになります。

正式試験では多くの待ち時間と費用が発生し、また、規格値を超えた場合には、問題対策を施して正式試験を行うということを何度も繰り返すため、さらに長い時間と費用がかかっていることは少なくないのが現状のようです。

本稿では、正式試験の回数を1ないし2回とできるだけ少なくするよう、事前に問題点をつぶしておく(Precompliance)ために使用することを目的とした、簡易なEMI試験システム「EMIトータル試験システムMR2300」を例にあげて紹介します。

2.EMIトータル試験システム

MR2300は、小型広帯域アンテナ、EMI用スペクトラムアナライザ、LISN、EMI用PCソフトウェアだけでなく、電波暗箱まですべてがそろったトータル試験システムです。

図1にMR2300のシステム構成を示します。本システムでは下記の測定が行えます。

  1. 放射性妨害ノイズを電波暗箱と広帯域アンテナを使って30MHz~2GHz帯域で測定
  2. 伝導性妨害ノイズをLISNを使って150KHz~30MHz帯域で測定
  3. EUT内PCBの磁界測定をオプションの磁界プローブを使って10MHz~3GHz帯域でノイズ発生源の特定

また、本システムではアンテナゲイン。LISNの減衰量、3m法への換算など、システム全体が「EMI用スペクトラムアナライザMSA338E」と「PCソフトウェアMAS230」で補正していますので、ユーザーはPC画面の測定結果(図2)をそのまま読み取れるだけという簡単な作業でEMI測定が可能になります。

図1:MR2300のシステム構成

【図1】MR2300のシステム構成

図2:PCソフトウェアMAS230

【図2】PCソフトウェアMAS230

3.試験例

ここで、自動車用キーレスエントリーの放射ノイズ試験を例に測定方法のポイントを挙げます。

3-1.電波暗箱へのEUTの設置

電波暗箱MY5310内でのEUTの設置条件を図3に示します。

広帯域アンテナではEUTから放射されるすべての方向の放射ノイズを検出することはできず、以下の条件に基づいた成分の放射ノイズが検出可能になります。

つまり、図3の○印がついた放射ノイズ成分を評価・測定することが可能になります。

今回のEUTではサイズが小さく高さが不十分となるため、写真1のように非伝導性の発泡スチロールでEUTが地板高さ以上になるように設置しています。

最大放射位置は外部から手動操作が可能なターンテーブルを回転させて測定を行います。

また、水平モードでの測定については、アンテナを動かすことができないため、EUTの設置向きを変えて測定します。

写真1:EUT(キーレス)の設置状況

【写真1】EUT(キーレス)の設置状況

図3:EUTの設置条件

【図3】EUTの設置条件

3-2.PCソフトでの確定

自動測定モードではあらかじめ推奨される測定パラメータに設定されていますので、測定開始ボタンをクリックすることで測定が開始されます。

本ソフトでは測定時間を短縮するために周波数スパンを広スパン、中スパン、狭スパンと分けて測定する方式をとっています。

図4にEUTの測定結果画面を示します。規格を超過したノイズに対しては、測定波形とともに数値としてリスト出力されます。

図4の結果は自動測定モードによるものですが、マニュアル測定モードでもあり、規格外れの放射ノイズに焦点をあててデバックすることも可能です。

図4:EUT測定結果の例

【図4】EUT測定結果の例

認定サイトとMR2300の比較

  1. 認定サイトおよびMR2300の長所短所を表1に示します。
  2. 暗室データとの比較
    電波暗箱のキャリブレーション等に広く用いられている比較ノイズ放射器より放射されるノイズを、電波暗室およびMR2300で測定した結果を図5および図6に示します。

【表1】認定サイトとMR2300の長所短所

弊社システム
(MR2300)
認証サイト
(電波暗室)
費用 システム一式で445万円(MY5310の場合)。正式試験の前に十分に問題点を対策できるため費用が節約できる。また占有面積も小さい。 借用する場合には、1日10万~20万の使用料。建築する場合には数千万~数億円。また、広い敷地が必要となる。
効率 すぐに対策検討に移れる。場所的、時間的制約から解放される。 予約等が必要であり、すぐに対策検討に移れない。また、遠方にある場合、移動時間がかかる。
性能 認証が取得できない。 認証が取得できる。
図5:電波暗室での測定結果

【図5】電波暗室での測定結果

図6:MR2300での測定結果

【図6】MR2300での測定結果

MR2300では物理的な制約上、測定結果に若干の差異はありますが、アンテナ、電波暗箱、スペクトラムアナライザ、PCソフトをトータルで開発したことにより、電波暗室での測定結果に近い結果を得ることができました。

5.おわりに

今回紹介させていただいたMR2300システムを使用し、正式試験の事前に十分検討を行っておけば、一度の正式試験で済ませることが可能となります、また、正式試験でNGであった場合でも、その結果を基に同システムで検討を行い、再度の正規試験時には規格を満たす対策を行っておけばよいわけです。

以上、「EMIトータル試験システムMR2300」を例に挙げて述べてきたように、簡易EMI試験システムをノイズ対策のためのデバックツールとして上手に利用することで、開発時の検討費用を大幅に削減することができるものt考えています。

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2006.10.5 平野信

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